マクスウェルのデーモンの思考実験が提唱されてから150年余りが経ち、情報という概念と、熱力学や量子力学などの物理法則の間に切り離せない関係があることが認識されるようになってきました。たとえば情報熱力学は、生体から量子まで色々な情報処理のエネルギーコストを理解する鍵となると期待されています。また最近では、有限時間の熱力学に関する新しい原理限界や、その最適輸送理論との数理的な関係が議論されています。さらに、量子計算や量子物性とも関わりながら、情報の物理学は多岐にわたる新しい展開を見せています。
このような背景のもと、2023年10月から沙川ERATO情報エネルギー変換プロジェクトが開始しました。この研究会ではそのキックオフワークショップとして、関連分野の研究者を講演者としてお招きし、情報物理学を「横糸」とした分野横断型の交流を図りたいと考えています。