沙川研究室
東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻

☆ 講義関係 ☆



集中講義「量子熱力学の基礎」
2018年6月27日(水)〜29日(金) (いずれも 10:30-12:00,13:30-15:00,15:30-17:00)
京都大学吉田キャンパス,理学部5号館 5階・第四講義室

上記の集中講義を予定しています.量子系の熱力学・統計力学の基礎に関する幅広い話題を扱いたいと思っています.講義に関連する資料を少しずつここで公開していく予定です.

【講義概要】
 不可逆な熱力学が可逆な(量子)力学から如何にして創発するかは、ボルツマン以来の基礎物理の難問である。近年、この問題に理論と実験の両面から新たな光が当たり、量子系の熱力学は活発な研究分野となっている。
 この講義では、量子系の熱力学の基礎を、多彩な現代的観点から理解することを目標とする。とくに、ゆらぎの定理(fluctuation theorem)、熱力学リソース理論、熱平衡状態の典型性、そして固有状態熱化仮説(Eigenstate Thermalization Hypothesis, ETH)に焦点を当てる。これらはいずれも現代の量子熱力学において重要な概念である。
 理論的には主に量子情報理論の手法(ややadvancedな線形代数)を用いる。証明は可能な範囲でself-containedに行う予定である。

Part 1. 準備
・統計力学の基礎――何が問題か?
・密度演算子とその時間発展
・量子状態のエントロピー

Part 2. 熱力学第二法則とゆらぎの定理
・相対エントロピーの正値性から
・量子系のゆらぎの定理
・相対エントロピーの単調性から

Part 3. 熱力学リソース理論
・Majorization
・量子系のmajorization
・Thermo-majorization

Part 4. ヒルベルト空間における典型性
・熱平衡状態の典型性
・熱化するハミルトニアンの典型性
・ボルツマン時間での緩和

Part 5. 熱平衡状態への緩和
・対角分布への緩和
・格子系の厳密統計力学
・Weak ETH
・Strong ETH
・熱化しない系

セミナー「量子純粋状態における熱力学第二法則とゆらぎの定理」


【講義資料】

Schur-Weyl dualityの証明 (PDF, 64KB)
Schur-Weyl dualityは量子情報理論で有用な定理です.講義では証明はしませんが,これを使って孤立量子系の熱平衡化のタイムスケールを議論する予定です.証明をコンパクトに書いた予備知識なしで読める文献があまり見当たらなかったので,まとめてみました.(講義ではここまで数学的な書き方や証明はせず,普通に物理っぽくやります.)




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電磁気学B(教養学部前期課程,2015年度A1A2ターム)
初回のスライド (PDF, 1514KB)

量子力学第二(物理工学科,2015年度S1S2ターム)
有田亮太郎先生による「工学教程 量子力学I」パイロット版 (PDF, 296KB)
(2015年10月20日 改訂版をアップロード)


第59回物性若手夏の学校 集中ゼミのテキスト
「情報処理の熱力学」 (PDF, 510 KB)


情報と計算の物理(統合自然科学科,2014年度夏学期)
情報熱力学のスライド (PDF, 2105 KB)